薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
熱が下がってきた頃から、ぼんやりとこれからのことを考えるようになった。

全部が落ち着いたら、仕事も辞めて、どこか田舎へ行って、小さな家でも借りて静かに暮らすのもいいかもしれない。

お金には困っていない。

それこそ、腐るほどある。

広い家なんていらない。庭が少しあって、窓を開けたら緑が見えて、朝起きてコーヒーでも飲んで、好きな本を読む。時々買い物へ行って、誰にも追われず、誰にも利用されず、誰の顔色も気にしない。

そんな暮らし。

いい。

ものすごくいい。

今まで色々ありすぎたんだから、これからくらい何も起こらない人生を送ったっていいじゃない。

そう思った。

思ったんだけど。

たぶん、無理。

理由は一人しかいない。

澤登陸斗。

あの人の執着、本当にすごいんですよ。

ヤバいくらい。

私が熱を出している間は、立ち入り禁止を守った。そこだけは褒めていい。

ただし、毎朝必ず体調確認のメッセージ。昼にも一度。夜にも一度。

返信しなければ聖子さんへ確認し、聖子さんがいなければ愛梨さん。それでも分からなければ純さん。

連絡網でも作ってるんですか。

というくらい徹底していた。

田舎へ逃げても、絶対に探しに来る。

むしろ私が引っ越し先を決める前に、隣の土地まで買っていそう。

そんな気さえする。

だから私の静かな田舎暮らし計画は、考え始めた段階ですでに崩壊の予感しかしなかった。
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