薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
そして、連れて来られた場所を見て思わず足を止めた。

「……ここ?」

見覚えがありすぎる。

というより、忘れるわけがない。

目の前にあるのは十日前、未來と坂上先生を呼び出し、すべての真相を突きつけた――あのホテルだった。

「何でこのホテルなんですか?」

思わず陸斗さんを見る。

「昨日、正式にオープンしたんですよ」

「昨日?」

「はい。記念にと思って」

「何の記念ですか」

嫌な予感しかしない。

事件解決記念?

それとも、プロポーズ再挑戦記念とか言わないですよね?

警戒するように見上げていると、陸斗さんはホテルの入口へ視線を向け、少しだけ懐かしそうに笑った。

「実はここ、奏と俺が出会った場所なんです」

「…………え?」

一瞬、言葉の意味が分からなかった。

「公園じゃなかったんですか?」

「公園です」

「じゃあ、何でここなんです?」

「当時、ここに何があったか覚えていませんか?」

「……当時?」

私はもう一度ホテルを見上げる。

当然だけれど、十六年前にこんなホテルはなかった。

でも、この場所。

土地そのもの。

そう言われて記憶を探る。

「…………あ」

何かが引っかかった。

「もしかして……公園?」

「はい」

陸斗さんが頷いた。

「ここにあった公園です」

「ええっ!?」

思わずホテルを見上げ直す。

あの公園が、ここ?

「再開発でなくなって、その跡地を含めてこのホテルが建ちました」

「そんな偶然あります?」

「ありますね」

「いや、“ありますね”じゃなくて!」

だから、わざわざここを選んだの?

「じゃあ、この前ここを使った時も知ってたんですか?」

「もちろん」

「何で言わなかったんですか!」

「事件の最中に話す内容ではないかと」

「それはそうですけど!」

正しい。

悔しいけど、正しい。

でも、この人。

本当に後出しが多すぎる。

「陸斗さん。まだ何か隠してません?」

「隠しているつもりはありません」

「その答え、一番信用出来ないです」

陸斗さんは珍しく、少し困ったように笑った。

「今日はちゃんと話しますよ」

「……何を?」

「十六年前のことも」

そこで一度、言葉を切る。

「それから、十日前に保留にされた話も」

「…………」

やっぱり、そっちもあるんですね。

「帰っていいですか?」

「駄目です」

「即答!」

「やっと二人で食事に来られたんですから」

私は大きく息を吐いた。

でも、帰る気はもうなかった。

十六年前。

十二歳の私と、十八歳の陸斗さんが出会った場所。

そこに今、新しいホテルが建っている。

そして十六年後、私たちはもう一度同じ場所へ、今度は二人で入っていく。

そう考えると、少しだけ不思議だった。
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