薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
私は両手で耳を塞いだ。

「覚えてないのに言うなー!」

「少しは思い出しているでしょう?」

「思い出してません!」

「顔が真っ赤ですよ」

「これは恥ずかしいからです!」

「では、続きを話しましょうか」

「何でそうなるんですか!」

陸斗さんが、ほんの少し笑う。

完全に。

楽しんでる。

「もういいです! 昨夜の私の発言は全部無効です!」

「それは困ります」

「何でですか!」

「プロポーズの返事まで無効になりますから」

「…………」

そこを持ってくる?

「それと」

「まだあるんですか!?」

「『帰らないで』も」

「それはもういいです!」

「俺としては、かなり嬉しかったので」

「だから本人が覚えてないところを丁寧に掘り返さないでください!」

長いこと我慢したからって。

一晩で全部解禁しなくてもいいでしょう。

そんな私の顔を覗き込むように、陸斗さんが少しだけ身体を屈めた。

「でも、奏が嫌がることはしませんよ」

急に。

そういう真面目な顔をする。

ずるい。

「嫌なら、ちゃんと言ってください」

そこは。

ちゃんと聞くんだ。

だったら。

「……キス、多すぎます」

「嫌ですか?」

「多いって言ってるんです!」

「嫌ではないんですね」

「何でそういうところだけ弁護士になるんですか!」

本当に。

油断も隙もない。

私は布団を身体へ巻き直しながら、今度こそ言いたかったことを口にした。

「それから。神宮寺さんに戻してください」

「嫌です」

「何でですか!」

「昨日までは婚約者ではありませんでしたから」

「だからって一晩で全部変えないでください!」

「俺はずっと待ちましたから」

「私は昨日ですよ!」

思わず声を上げる。

「私と陸斗さん、時間軸が違いすぎるんです!」

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