薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
嬉しいのか。
怖いのか。
困っているのか。
自分でも分からない。
ただ、目の前の二本の線だけが。
やけにはっきりしていた。
私は検査薬を箱へ戻し、バッグへ入れた。
そのまましばらく。
狭い個室の中で動けなかった。
病院。
行かなきゃ。
そう思う。
でも。
その前に。
両親のお墓へ行きたかった。
◇
町へ入ると、景色が変わった。
東京とはまるで違う。
低い家々。
畑。
遠くに連なる山。
道端には季節の草花が揺れ。
その向こうには。
富士山が見えた。
両親が眠る墓地は、その町のさらに奥にある。
車の音もほとんど聞こえず、風がゆっくりと墓地を抜けていく。
墓石の前へ立った瞬間。
それまで胸の奥で張りつめていたものが、ほんの少しだけ緩んだ。
「……久しぶり」
返事なんてない。
分かっている。
それでも昔から、ここへ来ると二人が目の前にいるみたいに話してしまう。
「遅くなって、ごめんね」
手を合わせる。
未來のこと。
坂上幹司のこと。
事故のこと。
会社のこと。
まだ、全てが法的に終わったわけじゃない。
それでも。
真実は分かった。
「二人のせいじゃなかった」
声が少しだけ震えた。
「ちゃんと、分かったよ」
ずっと。
何で私だけ残ったんだろう。
そう思っていた。
でも。
今は少し違う。
「ちゃんと生きてるよ。何か……凄い人たちに囲まれてるけど」
思わず笑う。
元裁判官。
弁護士。
検事。
警察関係。
人気芸能人までいる。
二人が聞いたら。
きっと。
『何だそれ』
って言うと思う。
「それからね」
私は左手を上げた。
婚約指輪が、柔らかな昼の光を受けて小さく輝く。
「結婚してくださいって言われて……受けちゃった」
子どもの頃。
図書館で会った、あのお兄さんだったことも話した。
太って。
黒縁メガネで。
髪も野暮ったくて。
私が勝手なことを言った、あの人。
「本当に人生変えちゃったんだって」
そこまでは。
笑って話せた。
怖いのか。
困っているのか。
自分でも分からない。
ただ、目の前の二本の線だけが。
やけにはっきりしていた。
私は検査薬を箱へ戻し、バッグへ入れた。
そのまましばらく。
狭い個室の中で動けなかった。
病院。
行かなきゃ。
そう思う。
でも。
その前に。
両親のお墓へ行きたかった。
◇
町へ入ると、景色が変わった。
東京とはまるで違う。
低い家々。
畑。
遠くに連なる山。
道端には季節の草花が揺れ。
その向こうには。
富士山が見えた。
両親が眠る墓地は、その町のさらに奥にある。
車の音もほとんど聞こえず、風がゆっくりと墓地を抜けていく。
墓石の前へ立った瞬間。
それまで胸の奥で張りつめていたものが、ほんの少しだけ緩んだ。
「……久しぶり」
返事なんてない。
分かっている。
それでも昔から、ここへ来ると二人が目の前にいるみたいに話してしまう。
「遅くなって、ごめんね」
手を合わせる。
未來のこと。
坂上幹司のこと。
事故のこと。
会社のこと。
まだ、全てが法的に終わったわけじゃない。
それでも。
真実は分かった。
「二人のせいじゃなかった」
声が少しだけ震えた。
「ちゃんと、分かったよ」
ずっと。
何で私だけ残ったんだろう。
そう思っていた。
でも。
今は少し違う。
「ちゃんと生きてるよ。何か……凄い人たちに囲まれてるけど」
思わず笑う。
元裁判官。
弁護士。
検事。
警察関係。
人気芸能人までいる。
二人が聞いたら。
きっと。
『何だそれ』
って言うと思う。
「それからね」
私は左手を上げた。
婚約指輪が、柔らかな昼の光を受けて小さく輝く。
「結婚してくださいって言われて……受けちゃった」
子どもの頃。
図書館で会った、あのお兄さんだったことも話した。
太って。
黒縁メガネで。
髪も野暮ったくて。
私が勝手なことを言った、あの人。
「本当に人生変えちゃったんだって」
そこまでは。
笑って話せた。