薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
「とにかく今日は、うちの実家に行くよ」

「え?」

「一人にしたら、あんた絶対ろくなこと考えないでしょ」

「そんなことないって」

「北海道まで飛んできた人が何言ってんの」

反論できない。

恵麻は私の荷物を当然のように持つ。

「で」

「何?」

「相手、誰なの」

来た。

そこ。

まだ。

言ってなかった。

「……澤登陸斗」

恵麻の足が止まった。

「…………澤登?」

「うん」

ゆっくり振り返る。

「あちゃー」

「何よ!」

「奏、逃げられないね」

「何で苗字聞いただけでそこまで言えるのよ!」

私は恵麻の顔をじっと見る。

「何で“澤登”って聞いただけで、そんな反応したの?」

「ああ。そりゃ知ってるから」

「何を?」

「陸斗さん」

「…………え?」

「昔、すごい根暗でおデブちゃんだったからね」

「ちょっと待って!」

また。

そこ。

「恵麻も昔の陸斗さん知ってるの!?」

「知ってるよ。奏と一緒にいる時、何回か会ってるし」

「…………」

私。

覚えてない。

全然。

恵麻はそんな私を見て、少し呆れたように笑った。

「黒縁メガネで、髪も野暮ったくて、いつも妙に暗かったし」

「もう十分です!」

本人いないところで。

好き放題。

「でも陸斗さん、私にはしつこかったのよ」

「何が?」

「あの子の名前を教えろって」

「…………誰の?」

聞かなくても。

何となく分かった。

恵麻が私を見る。

「あんた」

「……私?」

「そう。私と一緒にいる時、何回も聞いてきた」

「教えたの?」

「さあ」

「さあ!?」

「覚えてない」

「そんな大事なところ!」

「何年前の話だと思ってんの」

全然悪びれてない。

「北海道に引っ越してから、そのこと自体忘れてたし。ただ最近、何か動きがあったらしいとは聞いてた」

「誰から?」

「真那斗」

「……誰?」

「澤登真那斗。陸斗さんの弟」

「え?」

そして。

恵麻は何でもないことみたいに続けた。

「私、真那斗と幼馴染で付き合ってるのよ」

「…………」

はい?

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