薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
恵麻の実家へ着いた頃には、外はすっかり暗くなっていた。

今日だけで。

あまりにも色々ありすぎた。

静岡で検査薬が陽性になって。

両親のお墓へ行って。

そのまま北海道へ飛んで。

病院で妊娠十週と言われて。

しかも。

三つ子。

さらに。

恵麻の恋人がまさかの澤登家。

もう今日は。

これ以上。

何も起きなくていい。

本当に。

そう思いながら。

「お邪魔します」

恵麻に続いてリビングへ入った瞬間、私は足を止めた。

男性がいる。

ソファから立ち上がったその人は、こちらへ向き直ると、ごく自然に頭を下げた。

「こんばんは。初めまして。澤登真那斗です。兄がいつもお世話になっています」

「…………」

澤登。

やっぱり。

「……恵麻」

「何」

「何でいるの」

「真那斗が?」

「他に誰がいるのよ!」

北海道まで来て。

病院で三つ子と言われて。

ようやく少し落ち着けると思った幼馴染の実家に。

何で。

陸斗さんの弟が。

もういるの。

「今日、うちでご飯食べる予定だったし」

「先に言って!」

「聞かれなかったから」

「今日それ何回目!」

真那斗さんが少しだけ笑った。

「すみません。驚かせました?」

「驚きますよ! 私、今日初めて真那斗さんの存在を知ったんですよ!」

「そうなんですか?」

真那斗さんが恵麻を見る。

「言ってなかったの?」

「聞かれなかったから」

「恵麻!」

本当に。

この人。

「改めまして。真那斗です」

「……神宮寺奏です」

そう名乗ったところで、真那斗さんの視線が私の左手へ落ちた。

婚約指輪。

「なるほど」

「何がですか」

「兄貴、本当にやったんだなと思って」

「婚約のことですか?」

「ええ」

「どこまで聞いてるんですか」

「かなり」

嫌。

その答え。

「昔のことも?」

「知ってます。兄貴、昔からしつこかったんで」

「真那斗。その言い方だと昔だけみたい」

恵麻が横から口を挟む。

「ああ。今の方が酷いか」

「ですよね!」

思わず同意してしまった。

弟からもそう思われてるんだ。

少し安心した。

私がおかしいんじゃない。

陸斗さんがおかしい。

「ただ、神宮寺さんに会えてようやく納得しました」

「何がですか?」

「兄貴が、ずっと引きずってた理由」

「…………」

そういう。

さらっと恥ずかしいこと言うの。

やめてもらえます?

「最近も、昔から忘れられなかった子のことで何か動きがあったらしいとは聞いてました」

恵麻が頷いた。

「そう。それ聞いてたの。でも、まさか奏だとは思わないじゃん」

そのまま、私の左手を見る。

「昔、陸斗さんが私にしつこく名前を聞いてきた女の子が奏で。最近ずっと追ってた相手も奏で。そのまま婚約して、今、三つ子妊娠して北海道に来てる」

「全部まとめて言うなあああああ!」

リビングへ。

私の声が響く。

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