薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
「いやあ。人生って分かんないね」
「他人事だと思って!」
「他人事だもん」
「幼馴染でしょう!」
「だから病院連れてきたでしょ」
「そうだけど!」
そこは。
ものすごく。
世話になってる。
◇
――これは、あとになって征さんから聞いた話だ。
私が北海道へ向かっていた頃。
九州では、陸斗さんが何度目か分からないほどスマートフォンの画面を確認していたらしい。
『墓参りは終わりましたか?』
未読。
『今日は泊まるんですか?』
未読。
『奏、連絡ください』
それも。
未読。
最初は、陸斗さんもそこまで気にしていなかった。
墓前でゆっくりしているのかもしれない。
移動中かもしれない。
久しぶりに両親へ報告することが多くて、スマートフォンなんて見ていないだけかもしれない。
そう考えていたらしい。
でも。
夕方になっても。
夜になっても。
返事がない。
電話を掛けても出ない。
もう一度掛けても。
出ない。
位置情報を見ると。
最後に更新された場所は静岡。
隣で資料を見ていた征さんも、さすがに気づいた。
「陸斗さん、どうしました?」
「……奏と連絡がつかない」
「神宮寺さんと?」
「昼過ぎから何度も送ってるんですが、一度も既読にならない。電話も出ません」
「墓参りでしたよね?」
「静岡です」
「一泊する可能性も聞いてるんですよね?」
「はい」
「なら、疲れて寝てるとか」
「位置情報も更新されていません」
征さんが画面を見る。
「最後は静岡?」
「はい」
「充電切れか、山の方なら圏外だった可能性もありますね」
「分かっています」
全部。
あり得る。
それでも陸斗さんは、事故や体調不良、それどころか事件の関係者まで考え始めてしまったらしい。
「一回、整理しましょう」
征さんが静かに言った。
「神宮寺さんは今日、事務所にも寄って静岡へ行ってる。墓参りへ行くことも皆に話してる。つまり最初から隠れてどこかへ行くつもりじゃない」
「はい」
「位置共有も切っていない」
「はい」
「少なくとも静岡までは予定通りだったんでしょう」
静岡までは。
その言葉が、妙に引っかかったらしい。
聖子さんたちにも確認したけれど。
誰にも連絡はない。
何度電話を掛けても。
出ない。
後になって陸斗さん本人から聞いた。
怒っていたんじゃない。
ただ。
怖かった、と。
ようやく見つけて。
やっと隣にいてくれるようになった私が。
また突然、いなくなるんじゃないか。
そんな理屈にもならない不安まで、胸の奥から押し寄せていたらしい。
――もちろん。
その頃の私は。
そんな大騒ぎになっているなんて、一ミリも知らなかった。
「他人事だと思って!」
「他人事だもん」
「幼馴染でしょう!」
「だから病院連れてきたでしょ」
「そうだけど!」
そこは。
ものすごく。
世話になってる。
◇
――これは、あとになって征さんから聞いた話だ。
私が北海道へ向かっていた頃。
九州では、陸斗さんが何度目か分からないほどスマートフォンの画面を確認していたらしい。
『墓参りは終わりましたか?』
未読。
『今日は泊まるんですか?』
未読。
『奏、連絡ください』
それも。
未読。
最初は、陸斗さんもそこまで気にしていなかった。
墓前でゆっくりしているのかもしれない。
移動中かもしれない。
久しぶりに両親へ報告することが多くて、スマートフォンなんて見ていないだけかもしれない。
そう考えていたらしい。
でも。
夕方になっても。
夜になっても。
返事がない。
電話を掛けても出ない。
もう一度掛けても。
出ない。
位置情報を見ると。
最後に更新された場所は静岡。
隣で資料を見ていた征さんも、さすがに気づいた。
「陸斗さん、どうしました?」
「……奏と連絡がつかない」
「神宮寺さんと?」
「昼過ぎから何度も送ってるんですが、一度も既読にならない。電話も出ません」
「墓参りでしたよね?」
「静岡です」
「一泊する可能性も聞いてるんですよね?」
「はい」
「なら、疲れて寝てるとか」
「位置情報も更新されていません」
征さんが画面を見る。
「最後は静岡?」
「はい」
「充電切れか、山の方なら圏外だった可能性もありますね」
「分かっています」
全部。
あり得る。
それでも陸斗さんは、事故や体調不良、それどころか事件の関係者まで考え始めてしまったらしい。
「一回、整理しましょう」
征さんが静かに言った。
「神宮寺さんは今日、事務所にも寄って静岡へ行ってる。墓参りへ行くことも皆に話してる。つまり最初から隠れてどこかへ行くつもりじゃない」
「はい」
「位置共有も切っていない」
「はい」
「少なくとも静岡までは予定通りだったんでしょう」
静岡までは。
その言葉が、妙に引っかかったらしい。
聖子さんたちにも確認したけれど。
誰にも連絡はない。
何度電話を掛けても。
出ない。
後になって陸斗さん本人から聞いた。
怒っていたんじゃない。
ただ。
怖かった、と。
ようやく見つけて。
やっと隣にいてくれるようになった私が。
また突然、いなくなるんじゃないか。
そんな理屈にもならない不安まで、胸の奥から押し寄せていたらしい。
――もちろん。
その頃の私は。
そんな大騒ぎになっているなんて、一ミリも知らなかった。