薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
「いやあ。人生って分かんないね」

「他人事だと思って!」

「他人事だもん」

「幼馴染でしょう!」

「だから病院連れてきたでしょ」

「そうだけど!」

そこは。

ものすごく。

世話になってる。



――これは、あとになって征さんから聞いた話だ。

私が北海道へ向かっていた頃。

九州では、陸斗さんが何度目か分からないほどスマートフォンの画面を確認していたらしい。

『墓参りは終わりましたか?』

未読。

『今日は泊まるんですか?』

未読。

『奏、連絡ください』

それも。

未読。

最初は、陸斗さんもそこまで気にしていなかった。

墓前でゆっくりしているのかもしれない。

移動中かもしれない。

久しぶりに両親へ報告することが多くて、スマートフォンなんて見ていないだけかもしれない。

そう考えていたらしい。

でも。

夕方になっても。

夜になっても。

返事がない。

電話を掛けても出ない。

もう一度掛けても。

出ない。

位置情報を見ると。

最後に更新された場所は静岡。

隣で資料を見ていた征さんも、さすがに気づいた。

「陸斗さん、どうしました?」

「……奏と連絡がつかない」

「神宮寺さんと?」

「昼過ぎから何度も送ってるんですが、一度も既読にならない。電話も出ません」

「墓参りでしたよね?」

「静岡です」

「一泊する可能性も聞いてるんですよね?」

「はい」

「なら、疲れて寝てるとか」

「位置情報も更新されていません」

征さんが画面を見る。

「最後は静岡?」

「はい」

「充電切れか、山の方なら圏外だった可能性もありますね」

「分かっています」

全部。

あり得る。

それでも陸斗さんは、事故や体調不良、それどころか事件の関係者まで考え始めてしまったらしい。

「一回、整理しましょう」

征さんが静かに言った。

「神宮寺さんは今日、事務所にも寄って静岡へ行ってる。墓参りへ行くことも皆に話してる。つまり最初から隠れてどこかへ行くつもりじゃない」

「はい」

「位置共有も切っていない」

「はい」

「少なくとも静岡までは予定通りだったんでしょう」

静岡までは。

その言葉が、妙に引っかかったらしい。

聖子さんたちにも確認したけれど。

誰にも連絡はない。

何度電話を掛けても。

出ない。

後になって陸斗さん本人から聞いた。

怒っていたんじゃない。

ただ。

怖かった、と。

ようやく見つけて。

やっと隣にいてくれるようになった私が。

また突然、いなくなるんじゃないか。

そんな理屈にもならない不安まで、胸の奥から押し寄せていたらしい。

――もちろん。

その頃の私は。

そんな大騒ぎになっているなんて、一ミリも知らなかった。
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