薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
何、その軽さ。

「その話はあと。とにかく走るのやめる。それから奏、ご飯食べてないじゃん」

言われて初めて気づいた。

「あっ、本当だ」

起きてから何も食べていない。

それどころか、飲み物すらほとんど口にしていないのに、その状態で全力疾走までしている。

恵麻が呆れるのも当然だった。

「とにかく腹拵え。近くに隠れ家的なカフェがあるから、そこにしよう」

隠れ家的。

その言葉に、私は即座に反応した。

「そこ!」

「ご飯食べたいのか隠れたいのか、どっち」

「両方!」

ようやく歩き出したところで、恵麻がふと思い出したように言った。

「そういえば携帯は?」

私はバッグへ手を入れる。

ない。

「あれ?」

「まさか」

「……忘れてきた」

「何処に」

「玄関」

今度は恵麻が額へ手を当てた。

「戻る?」

「嫌!」

「じゃあ、どうするのよ」

「分かんない。でも戻りたくない!」

我ながら、本当に計画性がない。

逃げることに必死で、位置情報どころか、その位置情報を発信するスマートフォンそのものを玄関へ置いてきた。

それでも今さら戻る勇気はなく、私たちはそのままカフェへ向かった。
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