薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
その店は、本当に隠れ家的な場所だった。

住宅街の奥、木々に囲まれた場所にひっそりと建つ小さなカフェ。表通りからはほとんど見えず、入口にあるのは控えめな看板だけで、知らなければそのまま通り過ぎてしまいそうな店だった。

「最高」

「何が」

「隠れ家感」

「ご飯食べる場所だからね」

「今の私には両方必要なの」

一番奥の席へ座り、まず注文したのは二人ともフルーツミックスジュースだった。

運ばれてきた瞬間、示し合わせたわけでもないのに二人同時にグラスを掴み、そのままほとんど一気に飲む。

「……生き返るー」

「ほんとに」

冷たくて甘いジュースが身体中へ染み渡っていくようで、ようやく少しだけ人間へ戻った気がする。

私は空になりかけたグラスを見ながら笑った。

「フルーツミックスジュース一気飲みってある?」

「今ここに二人いるから、あるんじゃない?」

「そういう問題?」

「実例が二人」

「説得力あるような、ないような」

そんなくだらない話をしながらグラスを置いた途端、今度は盛大にお腹が空いてきた。

「それにしても走ったわ……あー、お腹すいた」

「だから最初から食べろって言ったの」

そう言われながら朝食を注文し、ようやく一息ついたところで、私はさっきの話を思い出した。

「それより恵麻。何か月なの?」

「二十週」

「二十週!? そんなに?」

思わず声が大きくなる。

「私は一人だけどね」

「一人だけって普通一人なのよ。私を基準にしないで!」

「女の子だよ」

「えっ、女の子なの?」

「うん」

恵麻はそう答えると、ほんの少しだけ表情を柔らかくした。

「楽しみ」

その顔を見て、胸の奥がふっと温かくなる。

昨日、私が三つ子だと聞いた時は、嬉しいより先に怖いという感情の方が大きかった。

でも、恵麻のその顔を見ると、少し先にはこんなふうに「楽しみ」と思える時間が待っているのかもしれない。

そう思えた。
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