薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
そして最後が、茂樹先生。

最初こそ、

『奏さんは静岡へ行くと言っていただろう』

『少し落ち着け』

と宥めていたものの、夜中に何度も起こされ、そのうえ自分の仕事まで振られ、ついには完全に切れた。

『お前がそんな行動をするから、奏さんは嫌気がさして逃げたんだ。我々も逃げろとは言った。確かに言った。でも、それを実行するくらいに奏さんは追い込まれたんだ』

さらに、

『父さんは寝たい。お前の仕事まで振られて、こっちは朝一番で福岡だぞ! 分かってるのか!』

それを最後に、プツンと電話を切ったらしい。

しかも茂樹先生は、そんな大騒ぎの最中に、

『たぶん奏さんは妊娠してる』

とまで察していた。

陸斗さん自身も、その言葉を聞いてから、聖子さんたちへ確認した私の最近の様子を思い返したらしい。

以前より眠そうにしていたこと。

疲れやすそうだったこと。

食欲に波があったこと。

一つ一つは、事件のあとだからという理由で見過ごしてしまえる程度の小さな変化。

それでも、全部を繋げれば、一つの可能性が見えてくる。

そんな話をしていたところで、真那斗さんが玄関へ視線を向けた。

「奏さん、携帯忘れてます」

置き去りにされた私のスマートフォン。

それを見た陸斗さんは、しばらく無言になったらしい。

位置情報すら使えない。

でも、恵麻の行きそうな場所なら、真那斗さんにはいくつか心当たりがある。

そうして。

私たちは、とうとう見つかった。
< 245 / 290 >

この作品をシェア

pagetop