薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
静岡へ行ったのは、本当に両親のお墓参りのためだったこと。

ただ、少し前から生理が遅れていて、身体にも何となく違和感があったこと。

東京で妊娠検査薬を買うのは、妙なところで誰かに会いそうで嫌だったから、静岡へ着いてからドラッグストアへ入ったこと。

そして、結果は陽性だったこと。

私は一つずつ、順番に話した。

検査薬に二本の線が出た瞬間、頭が真っ白になった。

嬉しいのか、怖いのか、自分でも分からなかった。ただ、そのまま何もなかったように東京へ帰る気にはなれなくて、予定通り両親のお墓へ向かった。

墓前で事情を話して、最後には、

『どうしたらいいんだろう』

と、亡くなった母にまで答えを求めた。

それでも一人ではどうしても抱えきれなかったから、恵麻へ電話をした。

そして気づけば、北海道まで来ていた。

「最初から陸斗さんから逃げるつもりで、北海道まで来たわけじゃないんです」

そこまで話してから、私は手元へ視線を落とした。

陸斗さんは、途中で一度も口を挟まなかった。

ただ黙って、私の話を最後まで聞いている。

だから私も、本当の気持ちを話すことにした。

「ただ……陸斗さんに言ったら、全部一気に変わりそうで怖かったんです。嬉しくないわけじゃないし、嫌なわけでもありません。でも、自分でもまだ何が起きたのか分からないのに、陸斗さんに言ったら、病院はどうする、仕事はどうする、何を食べた、何処へ行く、誰と行くって……私が考えるより先に、全部始まりそうで」

「そこまでは――」

陸斗さんが何か言いかけた。

その瞬間。

私だけではなく、恵麻も征さんも揃って無言で陸斗さんを見る。

数秒の沈黙のあと。

「……なるかもしれません」

ほら。

だから怖かったのよ。

私は思わず大きく息を吐いた。

「少しだけ、自分で受け止める時間が欲しかったんです。陸斗さんに知られたら、私が自分で考える前に、全部決まっていくような気がして」
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