薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
第二十話 ――束縛という名の執着愛に囚われました!――
気づけば私は、北海道を離れ、東京へ戻ってきていた。
昨日の朝までは恵麻の家にいて、陸斗さんが北海道へ来たと聞いた途端に逃げ出し、妊娠中の恵麻まで巻き込んで全力疾走した挙げ句、隠れ家的なカフェへ逃げ込んだところをあっさり見つけられた。そのあと、妊娠していることも、私のお腹の中に三人の子どもがいることも全部話したら、今度は陸斗さんが睡眠不足と衝撃で本当に倒れかけるという、とんでもない展開までついてきた。
たった二日ほどの出来事なのに、思い返すだけで何日分もの騒動を詰め込まれたような気がする。
ホテルへ移動してからは、もう何も考えないと決めた。
私が東京へ帰ると伝えた途端、陸斗さんは張り詰めていたものが切れたように眠ってしまい、私もその寝顔を見ながら、いつの間にか眠りに落ちていた。
そして翌朝、予定通り北海道を発ち、今はもう見慣れた東京の空港にいる。
妊娠していることも、お腹の中に三つの命がいることも、昨日と何一つ変わっていない。それでも北海道にいた時とは違い、これからのことを一人で決めなければならないとは、もう思っていなかった。
ただ、その前に一つだけ、どうしてもやらなければならないことがある。
荷物を受け取り、到着ロビーまで出たところで、陸斗さんが少し前を歩いていた征さんを呼び止めた。
「征さん。今日はこのまま直帰してください。それと、明日も休んでください」
珍しい言葉に、征さんだけでなく私まで陸斗さんを見る。
「明日も、ですか?」
「はい。今回は本当にご迷惑をお掛けしました」
陸斗さんはそう言うと、征さんへきちんと身体を向け、深く頭を下げた。
その姿を見た瞬間、私も横で黙っているわけにはいかなくなり、慌てて隣へ並ぶ。
「私もです。本当にご迷惑をお掛けしました」
そもそもの発端を考えれば、どう考えても私にも責任がある。
スマートフォンの充電が切れていることにも気づかないまま北海道まで行き、周囲を散々心配させたうえ、翌朝には陸斗さんが来ると聞いて全力で逃走までした。
まさか、その結果として九州へ仕事に行っていた征さんまで北海道へ連れて来られることになるなんて、あの時の私は想像もしていなかった。
「本当にすみませんでした。まさか、こんな大変なことになるなんて思わなくて……」
「奏、それは俺の方が――」
「いや、私もでしょう。携帯の充電を切らしたのも、逃げたのも私です」
「それを言うなら、俺が騒ぎすぎたのも原因です」
「でも逃げたのは私です」
「追いかけたのは俺です」
どちらがより悪かったのかを競うような、不毛な押し問答になり始めたところで、征さんが静かに口を挟んだ。
「その二人に振り回されたのが私です」
私と陸斗さんは揃って言葉を失った。
昨日の朝までは恵麻の家にいて、陸斗さんが北海道へ来たと聞いた途端に逃げ出し、妊娠中の恵麻まで巻き込んで全力疾走した挙げ句、隠れ家的なカフェへ逃げ込んだところをあっさり見つけられた。そのあと、妊娠していることも、私のお腹の中に三人の子どもがいることも全部話したら、今度は陸斗さんが睡眠不足と衝撃で本当に倒れかけるという、とんでもない展開までついてきた。
たった二日ほどの出来事なのに、思い返すだけで何日分もの騒動を詰め込まれたような気がする。
ホテルへ移動してからは、もう何も考えないと決めた。
私が東京へ帰ると伝えた途端、陸斗さんは張り詰めていたものが切れたように眠ってしまい、私もその寝顔を見ながら、いつの間にか眠りに落ちていた。
そして翌朝、予定通り北海道を発ち、今はもう見慣れた東京の空港にいる。
妊娠していることも、お腹の中に三つの命がいることも、昨日と何一つ変わっていない。それでも北海道にいた時とは違い、これからのことを一人で決めなければならないとは、もう思っていなかった。
ただ、その前に一つだけ、どうしてもやらなければならないことがある。
荷物を受け取り、到着ロビーまで出たところで、陸斗さんが少し前を歩いていた征さんを呼び止めた。
「征さん。今日はこのまま直帰してください。それと、明日も休んでください」
珍しい言葉に、征さんだけでなく私まで陸斗さんを見る。
「明日も、ですか?」
「はい。今回は本当にご迷惑をお掛けしました」
陸斗さんはそう言うと、征さんへきちんと身体を向け、深く頭を下げた。
その姿を見た瞬間、私も横で黙っているわけにはいかなくなり、慌てて隣へ並ぶ。
「私もです。本当にご迷惑をお掛けしました」
そもそもの発端を考えれば、どう考えても私にも責任がある。
スマートフォンの充電が切れていることにも気づかないまま北海道まで行き、周囲を散々心配させたうえ、翌朝には陸斗さんが来ると聞いて全力で逃走までした。
まさか、その結果として九州へ仕事に行っていた征さんまで北海道へ連れて来られることになるなんて、あの時の私は想像もしていなかった。
「本当にすみませんでした。まさか、こんな大変なことになるなんて思わなくて……」
「奏、それは俺の方が――」
「いや、私もでしょう。携帯の充電を切らしたのも、逃げたのも私です」
「それを言うなら、俺が騒ぎすぎたのも原因です」
「でも逃げたのは私です」
「追いかけたのは俺です」
どちらがより悪かったのかを競うような、不毛な押し問答になり始めたところで、征さんが静かに口を挟んだ。
「その二人に振り回されたのが私です」
私と陸斗さんは揃って言葉を失った。