薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
「で、住むところはどうするの?」

鈴子さんが聞いた。

「今のままでもいいじゃない。隣同士だし、子どもが生まれても上に皆いるし」

「それなんですけど……」

私は少し考えた。

今の部屋は便利だ。

事務所も近く、家族も近く、何かあった時にはすぐに誰かを頼れる。

ただし、近すぎる。

ものすごく近い。

結婚して子どもが生まれるなら、ずっとこのビルで暮らす必要はない。

私たちには、私たちなりの生活があってもいいはずだ。

そこまで考えたところで、ふと、とても重要なことを思い出した。

「私、お金が……腐るほどあるんですよね」

一瞬、全員が黙った。

暢さんが最初に吹き出す。

「今さらそこに戻る?」

「だって、本当にあるんです!」

ロト7の一等、約十二億円。

それからいろいろなことがあって、使ったお金もあれば、両親に関する整理の中で動いたお金もある。

それでも、まだ十分すぎるほど残っている。

「だったら、そのうち家を建ててもいいですよね。土地を買って、家を建てて、ここから独立するのもありだと思うんです」

「奏ちゃんのお家?」

鈴子さんが目を輝かせる。

「私たちの家です」

嫌な予感がしたので、そこは先に訂正しておく。

すると隣から、陸斗さんがものすごく真剣な顔で聞いてきた。

「その家に、俺は入ってます?」

全員が黙った。

私はゆっくり陸斗さんを見る。

「入りますよ」

「本当に?」

「結婚するって今言ったでしょう!」

「念のため確認しました」

「何を確認してるんですか!」

本気で安堵しているところを見ると、この人は本当に、自分だけ新居から排除される可能性まで考えたらしい。

「もし本当に建てるなら、場所も土地も間取りも全部二人で決めます。陸斗さん、一人で先に探さないでくださいよ」

「まだ探してません」

「“まだ”?」

少し間があった。

「……探そうとは思いました」

「ほら!」

部屋中から笑いが起こる。

「だから、それをやめてください!」

「分かりました。奏と一緒に探します」

「それならいいです」

そう、それでいい。

何処に住むのか、どんな家にするのか、いつ婚姻届を出すのか、仕事をどうするのか、そしてこれから生まれてくる子どもたちのこと。

今日一日で全部決める必要なんてない。

これから一つずつ、二人で決めていけばいい。
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