薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
それから、それほど時間は経たなかった。
澤登法律事務所の扉を開ける。
「失礼します……」
中へ入った私は、そのまま足を止めた。
「……え?」
何かが違う。
いや、明らかに違う。
さっきまで何もなかった壁際に、大きなホワイトボードが置かれていた。
その中央に書かれているのは――神宮寺奏。
私の名前だった。
そこから何本もの線が伸び、神宮寺基、神宮寺美加、坂梨未來、髙橋耕史、深町淳二、新庄篤郎、馬淵信治郎、坂上幹司へと繋がっている。
さらに、五月二十五日、六月二日、交通事故、相続、会社、資産、弁護士……。
いくつもの文字が並び、その間を矢印や疑問符が結んでいた。
私がさっき話したことが、全部、一枚の板の上で繋がり始めている。
……何、これ。
「お帰りなさい」
愛梨さんが声を掛けてくれた。
「あ……ただいま」
反射的に答えてから、すぐに気づく。
「いや、違いますね。すみません」
ここ、私の家じゃない。
純さんが吹き出した。
「いいのよ。そのうち――」
「純さん」
陸斗さんの低い声が飛ぶ。
「余計なことを言わないでください」
「はいはい」
私は、まだホワイトボードから目を離せなかった。
「……あの」
「はい」
征さんが顔を上げる。
「ここ、法律事務所ですよね?」
「そうですが」
「捜査会議とかじゃないですよね?」
一瞬、誰も答えなかった。
何で黙るの。
「違います」
少し間を置いて、陸斗さんが答える。
「……本当に?」
「情報を整理しているだけです」
整理。
これが?
「私が帰ってから、そんなに時間経ってないですよね?」
「経っていません」
「なのに、何でこんなことになってるんですか」
自然と視線が征さんへ向いた。
征さんは何事もなかったように答える。
「必要な情報を確認しただけです」
だけ?
これで?
本当に、この人は何者なんだろう。
澤登法律事務所の扉を開ける。
「失礼します……」
中へ入った私は、そのまま足を止めた。
「……え?」
何かが違う。
いや、明らかに違う。
さっきまで何もなかった壁際に、大きなホワイトボードが置かれていた。
その中央に書かれているのは――神宮寺奏。
私の名前だった。
そこから何本もの線が伸び、神宮寺基、神宮寺美加、坂梨未來、髙橋耕史、深町淳二、新庄篤郎、馬淵信治郎、坂上幹司へと繋がっている。
さらに、五月二十五日、六月二日、交通事故、相続、会社、資産、弁護士……。
いくつもの文字が並び、その間を矢印や疑問符が結んでいた。
私がさっき話したことが、全部、一枚の板の上で繋がり始めている。
……何、これ。
「お帰りなさい」
愛梨さんが声を掛けてくれた。
「あ……ただいま」
反射的に答えてから、すぐに気づく。
「いや、違いますね。すみません」
ここ、私の家じゃない。
純さんが吹き出した。
「いいのよ。そのうち――」
「純さん」
陸斗さんの低い声が飛ぶ。
「余計なことを言わないでください」
「はいはい」
私は、まだホワイトボードから目を離せなかった。
「……あの」
「はい」
征さんが顔を上げる。
「ここ、法律事務所ですよね?」
「そうですが」
「捜査会議とかじゃないですよね?」
一瞬、誰も答えなかった。
何で黙るの。
「違います」
少し間を置いて、陸斗さんが答える。
「……本当に?」
「情報を整理しているだけです」
整理。
これが?
「私が帰ってから、そんなに時間経ってないですよね?」
「経っていません」
「なのに、何でこんなことになってるんですか」
自然と視線が征さんへ向いた。
征さんは何事もなかったように答える。
「必要な情報を確認しただけです」
だけ?
これで?
本当に、この人は何者なんだろう。