薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
そして、子どもたちがどれだけ成長しても、ほとんど変わらない人が一人いる。

陸斗さん。

いや。

変わらないというより、悪化しているのかもしれない。

年を重ねれば多少は落ち着くのかと思っていたのに、この人の愛情は薄れるどころか、何故か年々濃くなっている。

場所なんて関係なく、気づけばキスをするのは当たり前になった。

おはよう。

いってきます。

ただいま。

おやすみ。

もはや挨拶代わり。

最初の頃こそ子どもたちも、

「またやってる」

と騒いでいたけれど、今では完全に諦めている。

そして、その過剰な愛情は私だけではなく、当然のように子どもたちにも向けられていた。

「然、今日は何時に帰ります?」

「分かんない」

「分からないじゃ困ります」

「友達と帰るだけだから」

「誰と?」

「パパ、うざい」

「…………」

とうとう息子にまで真正面から切られる父親。

でも、懲りない。

「帰る時間だけは連絡してください」

「はいはい」

「はいは一回」

「パパ、本当にうざい」

「…………」

二回目。

そんな父親を見て、翠はいつも苦笑する。

「パパ、心配なんだよね。でも大丈夫だよ」

昔からおっとりしていて、周りをよく見ている、本当に優しい子だと思う。

問題は、その下。

美蘭と胡凛。

この二人が、まあまあ辛辣。

しかも、ツンデレ。

「美蘭、今日はパパと――」

「嫌」

「まだ何も言ってません」

「分かるから」

小学二年生に一刀両断され。

「胡凛、パパ抱っこする?」

「いらない」

「どうして?」

「いまママがいい」

三歳児にまで容赦なく振られる。

そのたびに本気で落ち込むくせに、数分後に、

「パパ、こっち」

と呼ばれただけで一瞬で機嫌を直して抱き上げるのだから、完全に娘たちに転がされている。

ある日、美蘭がそんな父親を眺めながら、妙に達観した顔で言った。

「あのパパだから仕方がないよね」

胡凛まで隣で小さく頷く。

「しかたない」

「……二人とも、どういう意味ですか」

陸斗さんだけが納得していない。

すると美蘭が父親をじっと見上げ、少し考えてから言った。

「まあ〜、顔はいいから許せるけど」

「かお、いい」

胡凛まで同意したので、私はとうとう吹き出した。

小学二年生と三歳児に、顔だけは認めてもらっている父親。

まあ、あのパパだから仕方がない。

過保護で、心配性で、愛情が重くて、子どもたちにまで全力で鬱陶しがられているけれど、顔はいい。

そこだけは、娘たちの意見に私も全面的に同意する。
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