薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――

第六話 ――誰かが、私の部屋にいた――

車を降りた瞬間から、妙に落ち着かなかった。

見慣れたはずのマンション。

何度も出入りしてきた、自分の家。

昨日までなら何も考えずに入口を抜けていた場所なのに、今日は建物を見上げただけで胸の奥がざわつく。

「神宮寺さん、大丈夫ですか?」

隣に立った愛梨さんが、私の顔を覗き込んだ。

「はい。大丈夫です」

そう答えたけれど、自分でも分かるくらい声が硬かった。

少し離れたところには、陸斗さんと大雅さんがいる。

ここへ来る前、大雅さんから言われていた。

最初に部屋の前まで行くのは、私と愛梨さんだけ。

少しでも違和感があれば中には入らず、その場で連絡すること。

大勢が先に入ってしまえば、何かが動いていたとしても、それが元からなのか、自分たちが動かしたものなのか分からなくなる。特に普段、私しか触らない場所ならなおさらだ、と。

なるほどとは思った。

思ったけれど、自分の部屋へ荷物を取りに戻るだけなのに、こんなことまで考えなければならないのが、まだどこか現実離れしていた。

「行きましょうか」

「はい。お願いします」

愛梨さんと二人でエレベーターへ乗る。

階数表示が上がっていくのを眺めながら、私はバッグの中にある鍵を無意識に握っていた。

何もなければいい。

昨日から色々ありすぎて、私が神経質になっているだけ。

ドアを開ければいつもの部屋があって、必要な物を持って戻る。

それだけならいい。

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