薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
澤登法律事務所へ戻ったのは、午後七時を少し回った頃だった。

事務所には茂樹先生、鈴子さん、聖子さん、征さんが残っていた。

純さんの姿はない。

「おかえりなさい」

鈴子さんが立ち上がり、私たちの表情と持ち帰った荷物を順番に見た。

何かあったことは、それだけで察したらしい。

「今日はもう、続きは明日にした方がいいんじゃない?」

心配そうに言われたけれど、大雅さんが時計を見る。

「俺は明日仕事だ。疲れてるところ悪いが、一時間だけでいい。話を詰めないか」

時計は十九時十二分。

茂樹先生が頷いた。

「そうしましょう。今日中に必要なことだけ整理して、詳しいことは明日にしましょう」

「二十時十二分まで。それ以上はやらない」

私たちは会議用のテーブルへ移った。

今日決めるのは、必要なことだけ。

今夜どうするのか。

明日からどうするのか。

そして、私がしていいことと、しないこと。

愛梨さんが撮った写真は元データのまま保存する。加工しない。消さない。

必要な範囲で、征さんと大和さんへ共有する。

両親の遺品を入れた袋は、今夜は開封しない。

今まで使っていたスマートフォンも消さない。届く連絡や履歴を残すため、そのまま保管する。

新しく用意する端末と番号は、これからの普段の連絡用にする。

そこまで整理したところで、征さんが私を見る。

「端末と番号は準備できています。細かい設定は、今日は最低限だけにしておきましょう」

そこで初めて、新しいスマートフォンが私の前へ置かれた。

さっきまで使っていた物と、その隣に置かれた、まだ何も入っていない新しい端末。

二台を並べて見ると、ようやく本当に変わるのだという実感が湧いてくる。

でも今は、新しい方を触る余裕なんてなかった。

十二億円が当たった。

銀行へ行った。

弁護士へ相談した。

両親の会社のことを調べることになった。

自分の部屋へ帰れなくなった。

そして今度は、スマートフォンまで変わる。

一日に、どれだけのことが起きるんだろう。

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