薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
荷物をリビングへ運び、寝室を覗いたところで足が止まった。

昼間に見た時とは少し違う。

ベッドには真新しいシーツが掛けられ、枕と掛け布団が整えられている。洗面所には新しいタオルと、最低限の日用品まで用意されていた。

「……いつの間に」

私が荷物を取りに戻っている間に、誰かが準備してくれたらしい。

リビングへ戻ると、ダイニングテーブルには昼間になかった紙袋が置かれていた。

その上に、小さなメモ。

『今日はこれを食べてね。無理に全部食べなくてもいいから。 聖子』

「……聖子さん」

袋の中には、温めればすぐ食べられるご飯とおかず、スープ、果物まで入っていた。

寝具を整えてもらい、タオルや日用品まで準備してもらって、今度は夕食まで。

ありがたい。

でも同じくらい、戸惑った。

私は、こんなふうに誰かに世話を焼かれることに慣れていない。

両親が亡くなってからは特に、何でも自分でやることが当たり前だった。

誰かを頼れば、その人を信用しなければならない。信用すれば期待して、期待した分だけ裏切られた時に傷つく。

だったら最初から、自分で全部やればいい。

ずっと、そうやって生きてきた。

だから、“ちゃんと食べて”と食事を用意してもらうことさえ、いつの間にか私にとっては特別なことになっていたらしい。

「……こんなの、久しぶりかも」

そう呟いた時、ふと母のことを思い出した。

忙しい人だった。

子どもの頃は、私のことなんてそこまで気にしていないんじゃないかと思ったこともある。

でも考えてみれば、ご飯だけは何かしら用意されていた気がする。

食べずにいると、

――とにかく食べなさい。

そう言われた記憶だけは、妙に残っている。

「……そっか」

母は、何もしてくれなかったわけじゃない。

私が、あの頃は気づいていなかっただけなのかもしれない。

胸の奥が少しだけ締めつけられ、私は小さく息を吐いた。

それから夕食を温め、一人でテーブルについた。

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