薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――

第八話 ――十二億円あっても、今日もバイトです――

翌朝。

目を開けて最初に見えたのは、知らない天井だった。

「……あ」

一瞬だけ、どこにいるのか分からなかったけれど、すぐに昨日のことを思い出す。

ここは八階。

昨日まで使われていなかった部屋で、壁一枚向こうには陸斗さんがいる。

枕元に置いた新しいスマートフォンへ手を伸ばし、時間を確認すると午前六時を少し過ぎたところだった。

「……寝れるもんなのね」

もっと眠れないと思っていた。

知らない部屋に、知らないベッド。昨日一日で起きたことを考えれば、夜中に何度も目を覚ましていてもおかしくなかったのに、思った以上にしっかり眠れていたらしい。

体を起こして首や肩を回してみると、いつもより妙に軽い。

腰もあまり重くない。

昨日は疲れ切っていて、横になった時にはそこまで考える余裕なんてなかったけれど、改めて見るとマットレスも厚く、体が沈みすぎない。

「……ベッドが凄いのか」

それとも、単純に昨日が疲れすぎていただけなのか。

どちらにしても、思っていたより疲れは取れていた。

私はベッドの端へ座ったまま、しばらくぼんやりと昨日からの出来事を思い返した。

十二億円が当たり、自宅には誰かが入ったかもしれないという疑いが出て、両親の事故を調べることになった。

そのうえ、新しいスマートフォンを持ち、昨日まで住んでいた部屋にはしばらく戻れない。

こうして並べてみると、人生が全部変わったようにも見える。

でも、私の日常が完全に消えてしまったわけではない。

そこまで考えたところで、ふと今日の予定が頭に浮かんだ。

「……あ」

バイト。

辞めてない。

当然だ。

昨日、十二億円が当たったからといって、バイト先へ“一等が当たったので辞めます”なんて連絡をするわけもないし、そもそも私は辞めると決めてもいない。

「……今日、シフト入ってる」

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