薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
エレベーターに乗れば終わる。

早朝から外へ出る必要もないし、深夜に一人で帰ってくることもない。

「安全面だけなら、かなり違います」

愛梨さんが続けた。

「もちろん、だから今すぐ倉庫を辞めてくださいって意味じゃないですよ」

「そうそう。今日の仕事をどうするかと、これからどこで働くかは別。決めるのは神宮寺さん」

純さんの言葉に、少しだけ肩の力が抜けた。

昨日から、何もかもがあまりにも速く変わっている。

住む場所も、スマートフォンも、そして今度は仕事まで。

気づけば自分の生活が全部、誰かに決められてしまうんじゃないか。

そんな気持ちが、どこかにあったのかもしれない。

でも、この人たちは何度でも言う。

決めるのは私だと。

「ただ」

純さんが笑った。

「選択肢としては、かなり有力じゃない?」

「……八階から二階ですもんね」

「そう。寝坊しても間に合う」

「純さん」

愛梨さんが苦笑する。

「そこをメリットにしないでください」

「大事じゃない?」

「大事ですけど」

二人のやり取りに、思わず笑った。

昨日、初めて“ここで働く”という話を聞いた時には、まだ現実味なんてほとんどなかった。

でも今は少し違う。

倉庫を辞めるか、ここで働くか。

そんなふうに今日この場で二択にする必要はない。

ただ、これからどうするのかを考える選択肢の一つとしてなら――。

「……少し、考えてもいいですか?」

「もちろんです」

茂樹先生がすぐに答えた。

「急いで決める必要はありません」

その横で、陸斗さんも何も口を挟まなかった。

押すでも、勝手に決めるでもなく、ただ私の返事を待っている。

昨日、全員から同じように言われたことを思い出した。

――決めるのは、あなたです。

どうやら本当に、そのつもりらしい。

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