薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
すぐに茂樹先生から返信が届く。

『よかった。私ももう近くまで来ています』

続けて地図と店の情報が送られてきた。

『お二人で、今送ったカフェまで来てください。私もそちらへ向かいます』

「……茂樹先生、もう近くまで来てるんですね」

「早いですね」

朝まで事務所にいたはずなのに。

本当に、この人たちは動くのが早い。

『分かりました。今から向かいます』

返信して、私たちは施設の外へ出た。

一人じゃない。

それだけで、さっきまでとは少し違う。

「歩いて数分ですね」

愛梨さんが地図を確認する。

「はい」

「周りを少しだけ見ながら行きましょう」

私も無意識に周囲へ目を向けた。

車が走り、人が歩いている。

いつもの昼間の街。

昨日までなら何も気にせず歩いていた景色なのに、今日は誰かが立ち止まれば目が向き、後ろから足音がすれば少し気になる。

耳元で小さなピアスが揺れた。

暢さんが絶対に外すなと言った理由が、今になって少し分かった気がする。

数分後、指定されたカフェへ到着した。

店内へ入り、入口から少し離れた席へ案内される。

愛梨さんは私の正面ではなく、少し斜め横へ腰を下ろした。

「茂樹先生が来るまで、ここにいましょう」

「はい」

飲み物を注文し、一息つこうとした。

けれど、やっぱり落ち着かない。

ほんの一時間前まで、私は十八時まで普通に働くつもりだった。

そのあと陸斗さんが迎えに来て、八階へ帰る。

それだけだったはずなのに。

仕事は突然なくなり、未來から意味の分からないLINEが届き、今は愛梨さんと一緒に見知らぬカフェで茂樹先生を待っている。

「神宮寺さん」

「はい?」

「無理に今、全部整理しなくて大丈夫ですよ。起きたことをそのまま持って帰ればいいと思います。整理するのは、それからで」

「……はい」

考えれば考えるほど、分からないことばかり増えていく。

その時、新しいスマートフォンが震えた。

『もうすぐ着きます』

茂樹先生からだった。

「もう着くみたいです」

「よかった」

愛梨さんが小さく笑う。

その表情を見て、ようやくほんの少しだけ肩の力が抜けた。

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