薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
その頃。

陸斗は征と共に、クライアントとの打ち合わせに入っていた。

テーブルの上に伏せて置いたスマートフォンが短く震える。

一度。

少し間を置いて、また一度。

さらに、隣に座る征の端末まで、ほとんど同じタイミングで震えた。

陸斗の視線が一瞬だけ動く。

――グループLINE。

そう思った瞬間、胸の奥に嫌な感覚が走った。

普段なら、打ち合わせ中の連絡など終わってから確認すればいい。

それが当然だ。

でも今朝、仕事へ向かった奏の顔が浮かんだ。

昨日、自宅への侵入を疑う出来事があり、未來からも不自然なLINEが届いている。

だから今日は一人で行かせず、愛梨に同行してもらった。

それでも何かあったのか。

確認したい。

今すぐ。

けれど、目の前にはクライアントがいる。

陸斗は何事もなかったように資料へ視線を戻した。

「――以上を踏まえますと、こちらについては先方の回答を待った上で――」

説明を続ける。

声も表情も、いつも通りのつもりだった。

「先生」

隣から征が小さく呼んだ。

ほんの一瞬だけ横を見る。

「落ち着いてください」

「……落ち着いています」

返した声が、いつもより少し低かった。

征の眉がわずかに動く。

どうやら、そうは見えていないらしい。

打ち合わせを終え、クライアントを見送る。

応接室の扉が閉まった瞬間、陸斗はスマートフォンを手に取った。

ほぼ同時に、征も端末を開く。

グループLINEには未読がいくつも並んでいた。

奏が勤務先へ到着し、部署長に呼ばれたこと。

今月いっぱいで契約終了と言われたにもかかわらず、今日で最後だと告げられたこと。

今日の勤務までキャンセルされ、そのまま帰るよう言われたこと。

さらに、昨日の夜に本社から急な連絡が入り、部署長は反対していたらしいこと。

「……何だ、これは」

低い声が漏れた。

「かなり不自然ですね」

征も画面を見ながら答える。

その下に、奏が送った画像があった。

未來からの通知画面。

『奏、久しぶりにランチでも行かない?』

『昨日から連絡してるけど、無視?』

そして。

『仕事してないよね〜(笑)』

陸斗の指が止まる。

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