天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
「私の結婚……縁談でしょうか。どうしてお祖父様までそんなことを」
嫁がせたがっていたのは父だけではなかったのか。
先を促すと、彼は「これ以上、私の口からは――」と躊躇う仕草を見せた。
「ここまで来たら、言うも言わないも一緒です。あなたから聞いたなんて絶対に言いませんから、安心してください」
力強く約束すると、彼は「絶対に内密にお願いいたしますよ?」と念を押した。
(……この人、本当は秘密を漏らすのが好きなのでは?)
だが、ありがたいのでなにも言うまい。両手を合わせて、息を呑んで彼の言葉を待つ。
「――藍衣さんの結婚が決まったと。貞平様にご恩のある方に、嫁がせる意向のようです」
その内容にはさすがに衝撃を受けて、目を大きく見開いた。
〝縁談が決まった〟ではなく、〝結婚が決まった〟とは。
騒ぎ出したい気持ちをぐっと押さえ、拳を強く握りしめた。
「相手は誰です? それも聞いているんでしょう?」
「貞平様の心臓の手術を執刀された医師だそうです。名前は確か〝タキザワ〟と」
――滝沢黎士。
ぞわりと背筋に震えが走る。
嫁がせたがっていたのは父だけではなかったのか。
先を促すと、彼は「これ以上、私の口からは――」と躊躇う仕草を見せた。
「ここまで来たら、言うも言わないも一緒です。あなたから聞いたなんて絶対に言いませんから、安心してください」
力強く約束すると、彼は「絶対に内密にお願いいたしますよ?」と念を押した。
(……この人、本当は秘密を漏らすのが好きなのでは?)
だが、ありがたいのでなにも言うまい。両手を合わせて、息を呑んで彼の言葉を待つ。
「――藍衣さんの結婚が決まったと。貞平様にご恩のある方に、嫁がせる意向のようです」
その内容にはさすがに衝撃を受けて、目を大きく見開いた。
〝縁談が決まった〟ではなく、〝結婚が決まった〟とは。
騒ぎ出したい気持ちをぐっと押さえ、拳を強く握りしめた。
「相手は誰です? それも聞いているんでしょう?」
「貞平様の心臓の手術を執刀された医師だそうです。名前は確か〝タキザワ〟と」
――滝沢黎士。
ぞわりと背筋に震えが走る。