天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
ここロイヤルフロアは入院費用が高額なだけあって、看護師の数は通常の病棟よりもずっと多い。そのときの患者の容体にもよるが、お目当ての医師が来たら少々手を止めるくらいの時間の余裕はある。

それもあってか、黎士の周りにはとにかく女性が集まってくるのだ。

一週間も経つと、この光景にも見慣れてきた。

「滝沢先生、見てください~。退院した上村様がスタッフステーション用に高級茶葉を送ってくださったんですよ」

距離感を無視して黎士に近づく看護師たち。二人、三人と詰め寄っていく。

「滝沢先生も飲んでいってくださいよ」

「甘い物、お好きですか? ちょうどタルトを差し入れにいただいたので、診察の帰りに寄ってください」

彼はわずかに眉を下げて、ふんわりと儚げに微笑んだ。

「ごめん、医局の先生に呼ばれてるんだ。診察を終えたらすぐに行かないと」

あまりの麗しさに、周囲の看護師たちは追い縋るのも忘れてうっとりと惚ける。

その一連の様子を藍衣はスンとした目で見守っていた。

(黎士さんのあの笑顔……すごく違和感)

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