天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
ロイヤルフロアの食事はおいしくて高級、贅沢と有名なのに、それを飽きちゃったのひと言で片づけるのは、日頃からシェフを雇っているよほどグルメな資産家か、気まぐれな東雲くらいのものだ。
「……まあ、食べるのが面倒なのは、多少は理解できるとして」
常に忙しい黎士は食事を抜いてしまいたくなる気持ちがわかるようで、そう前置きする。
「俺は誰かさんが薦めてくれたセンスのいい食器を使うなりすれば、多少は面倒な食事に楽しみを見い出せるが」
そう言って食器棚を開け、一枚のプレートを取り出した。
草花模様がプリントされた白磁のプレート――彼がこの家に持ってきたもので、今の藍衣のお気に入りでもある。
「そうか、食器……」
ぽつりと呟く藍衣。小さなひらめきがあって、パッと顔を跳ね上げた。
「私、明日の朝、亜嵐くんのところに行ってきます」
黎士が「あいつのところにか?」とげんなりした顔をする。
「なにがそんなに気に入らないんです?」
尋ねるも、黎士は苦々しい顔をするだけだった。
翌日、ロイヤルフロアに出勤した藍衣は、着替える前に厨房脇のスタッフルームに顔を出した。そこには朝食を作り終えてひと息つく亜嵐がいた。
「……まあ、食べるのが面倒なのは、多少は理解できるとして」
常に忙しい黎士は食事を抜いてしまいたくなる気持ちがわかるようで、そう前置きする。
「俺は誰かさんが薦めてくれたセンスのいい食器を使うなりすれば、多少は面倒な食事に楽しみを見い出せるが」
そう言って食器棚を開け、一枚のプレートを取り出した。
草花模様がプリントされた白磁のプレート――彼がこの家に持ってきたもので、今の藍衣のお気に入りでもある。
「そうか、食器……」
ぽつりと呟く藍衣。小さなひらめきがあって、パッと顔を跳ね上げた。
「私、明日の朝、亜嵐くんのところに行ってきます」
黎士が「あいつのところにか?」とげんなりした顔をする。
「なにがそんなに気に入らないんです?」
尋ねるも、黎士は苦々しい顔をするだけだった。
翌日、ロイヤルフロアに出勤した藍衣は、着替える前に厨房脇のスタッフルームに顔を出した。そこには朝食を作り終えてひと息つく亜嵐がいた。