天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
いい加減きりがないと気づいたのか、亜嵐は話を進める。

「……ええと、東雲様ってご職業柄、SNSをとても大事にされていて」

黎士にもした説明を、同じように亜嵐にもする。

「SNSにアップすることが食への原動力になっているのなら、アップする頻度を増やせないかなって」

一晩考えた結論を口にするが、亜嵐は難しい顔をした。

「毎日SNS映えする食事を提供するっつったってな。手が足りない。しかも、調理師である俺の一存じゃ料理の内容までは変えられないからな。まず栄養士に相談すべきじゃないのか?」

「料理を変える必要はないと思っているの。これは私からの提案なんだけど――」

藍衣はなるべく手がかからず、かつ日々変化をつけられるアイデアを伝える。

それを聞いた亜嵐は「えっ……」と一瞬言葉を失った。

「それなら手はかからないが――金がかかる」

頬を引きつらせる彼に、藍衣は人差し指を立て「ちなみに」と声をひそめる。

「東雲様は本日から、グランドスイートにお部屋を移動されます」

亜嵐がぴくりと片眉を跳ね上げる。

「藍衣のお祖父さんがいる部屋の、次に豪華な部屋か?」

尋ねてきたのは黎士だ。ふたりはこくりと頷く。
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