天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~

「はい。お祖父様のロイヤルスイートと、その次のランクのグランドスイートは全部で四室しかなく、室料が高額な分、特別経費の使用が認められています」

ほかの病室よりも質の高いサービスが求められ、そのための経費も出る。

患者に心地よく過ごしてもらうためにできる限りのことをする――その姿勢は名門ホテルが掲げるホスピタリティにも通じるものがある。

以前、薔薇の花壇を作ったときもそういう背景があってこそだ。

とはいえ、患者のために花壇まで作ったコンシェルジュは藍衣が初めてだったが。

亜嵐は大きなため息をつき、「わかったよ」と肩を落とした。

「調理師長に了承を取ってくる。手配についてだけど、早くても今日の夜になると思うぞ?」

「じゃあ、昼の分は私の方で手配するね」

「手配って、どうやって?」

「自分の足で買ってくる。その分の外出許可は取ってある」

「まじか」

亜嵐の苦笑に背中を押され、厨房を出る藍衣。

そのあとを黎士が追いかけてきて「藍衣!」と腕を掴んだ。

「これから外出するって、体は大丈夫なのか?」

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