天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
まだ本調子ではない藍衣の体力を気遣っているのだろう。その心配は主治医としてか、あるいは夫としてか。

「大丈夫ですよ。休み休み行ってきますので」

そう微笑みかけると、黎士は困ったように眉を下げながら笑った。

「それは絶対、コンシェルジュの仕事じゃないと思うぞ?」

そう苦笑しつつも送り出してくれる。藍衣は「行ってきます」と揚々と声をあげ、そのまま白薔薇を出て最寄りの駅に向かった。




「失礼いたします。お食事をお持ちいたしました」

昼食の載ったワゴンを押して、藍衣がグランドスイートの病室に入る。ソファに腰かけているのは、この部屋に移動してきたばかりの東雲だ。

「ありがとー。ここで食べるから、適当に置いといて」

スマホをいじりながら興味なさそうに言う東雲。藍衣は「かしこまりました」とワゴンを押していく。

「本日のお食事は、東雲様に楽しんで召し上がっていただけるように、趣向を凝らしてご用意しました。ぜひご覧くださいませ」

藍衣がそう前置きしてローテーブルに配膳する。その言葉に顔を上げた東雲は、目の前に並ぶ料理を見て目を見開いた。

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