天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
「もう少し、生活に彩りを添えませんか?」

「赤い食器を置けってこと?」

いまいち伝わっておらず、藍衣は頭を抱える。

「……まあ、黒芭さんが遊びに来てくれるって言うなら、来客用に赤い食器を買い足してもいいけど」

黎士の頭の中には黒白赤程度しか色みが存在しないのか――そんなツッコミをごくんと呑み込み、藍衣は「わかりました」と腰に手を当てた。

「次のお休みは、食器を買い足しに行きましょう。滝沢さんに生活の潤いというものを教えて差し上げます」

その提案に、黎士が目を光らせる。

「それって、デートだよね?」

「外出支援です」

介護のような言われ方をされ、黎士はがっくりと肩を落とす。

それから一週間後、ふたりは青山から表参道へと続く大通りを練り歩き、インテリア小物や生活雑貨を扱うショップを覗いた。

購入したのは使い勝手のいい食器にカトラリー。それからクッションやタオル、ランチマットだ。ひとつしかなかったスリッパも買い足した。

ふたりで梱包を解き、部屋に配置していく。

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