天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
どうやらオンコールの見張りもしてくれていたようだ。肩にはブランケットがかけられ、顔の横にはハンカチが置いてあった。

「……このハンカチは?」

「あまりにもぐっすり眠ってらしたので、よだれを垂らされても困ると思って、一応置いておきました。いらなかったようですが」

まさかのよだれ拭きとは……。気遣いが行き届きすぎていてある意味、不敬だ。

「洗って返す」

「そのままでかまいませんよ。私の方でしっかり洗っておきますので」

彼女が返せと言わんばかりに手を差し出す。汚れもの扱いされて、不服ではあるものの「……ありがとう」と返却した。

「あ、そのエクレアは手作りではないので安心してください。統括部長の差し入れです」

そういえば夕食も食べておらず、お腹が空いている。もとより彼女から渡された食べ物を疑うつもりはなかったので、エクレアをありがたくいただくことにする。

「ありがと。東海林さんの様子、見に行ってくる」

長いエクレアをふた口で食べ、手についたチョコレートを舐めながら部屋を出ようとすると。

「あっ、ちょっと待って!」

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