天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
殺気を飛ばしながら尋ねると、亜嵐は呆れたように「違う」と言い捨てた。

「藍衣の方じゃない」

方じゃない、とは? 眉をひそめると、間髪入れず「亜嵐くーん!」と彼の名前を呼ぶ快活な声が響いてきた。

こちらに向かってやってくるのは、藍衣より少し背が高い女性。花柄のAラインワンピースにブランドバッグ、緩やかなウエーブを描く長髪。ロイヤルフロアの気高さがよく似合う、お嬢様といった印象の女性だった。

近づいてきて黎士の顔を見るなり「きゃ~、すごく格好いいお医者様! 亜嵐くんのお知り合い?」と興奮した様子でまくし立てる。

「あー、こっちは外科の滝沢先生。で、彼女は藍衣の姉の朱璃。俺と同じ年だ」

まずお前の年齢を知らないが、と黎士は思いつつも、紹介された彼女を観察する。

藍衣によく似た色白の肌、整った顔立ち、藍衣よりも垢抜けた印象なのは年齢が上だからか、メイクがうまいのか。

朱璃は「初めまして。妹がお世話になっております」と礼儀正しく微笑んで握手の手を差し出す。

「……滝沢です。どうも」

最低限の愛想笑いと挨拶に留め、握手に応じた。

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