天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
「一貫しててある意味すげえな。……まあ、あれだ。朱璃は縁談とかいろいろあるみたいで、俺がおいそれと手を出すわけにはいかないんだ。親が選んだ相手と結婚しなきゃならないらしい」

「そう、なのか……?」

藍衣が一葉の姪っ子であり、この病院に多額の支援をする資産家の孫娘、という話は知っていた。厳格な家の長女なら政略結婚のひとつやふたつ、命じられるのかもしれないなと納得する。

そこでふと懸念が湧く。

「黒芭さんには、そういうのはないのか?」

「縁談か? さあ、聞いたことはねえな」

亜嵐の言葉に安堵する。しかし、良家の次女であるならば、今後そういった話も挙がるかもしれない。姉が身を固めた次に、という可能性もある。

(俺が相手では、反対されてしまうか? いや、医師ならワンチャン――)

すっかり藍衣と結婚する気になって考えを巡らせていると、亜嵐が眉をひそめて尋ねてきた。

「あんた、ものすごくモテるんだろ? どうして藍衣なんだ?」

「俺から言わせてもらえば、どうして彼女を選ばないんだ?」

藍衣を選ばない男どもの気が知れない。あんなにかわいくて愛らしい女性はほかにいないというのに。

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