天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
「悔しいけれど、黎士さんが好き」

「どうして悔しがる? 素直じゃないな」

「ごめん、かわいげがなくて……」

予想以上に藍衣がしゅんとしてしまったので、驚きとともに苦笑する。彼女は少し自己評価が低いときがある。

かわいげがないなんて思ったこともないのに。むしろかわいげしかない。

「勝手に誤解するな。藍衣は世界一かわいい。素直じゃないところも、真面目すぎるところも」

そう言って彼女の頬に手を当て、逃げられないようにしっかりとホールドして。

「全部好きだ」

間違いようのない愛を唇に刻みつける。自分の口づけにうっとりと浸る彼女の愛らしい表情を、たっぷりと堪能した。




ふたりが少しずつ愛を育んでいくのと同じ頃。朱璃がたびたびロイヤルフロアを訪れるようになっていた。

藍衣にお弁当を渡すため、亜嵐に借りたものを返すため、妹が世話になっている同僚たちにお菓子を差し入れるため――様々な口実でやってきては黎士に話しかけ、ひと言、ふた言交わして帰っていく。

しかし、次第に黎士への執着を見せ始め、行動がエスカレートしていった。

ある夜、手術を終えて病院を出ると、白薔薇の関係者通路の前に朱璃がいた。

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