天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
そう言ってドアを開けたのは、美しい顔立ちをした美青年――いや、美丈夫と形容すべきだろうか。とびきり麗しい男性だった。

艶やかな黒髪に白くてきめ細やかな肌。目、鼻、口はナチュラルなのに形が整っていて、嫌なところが見当たらない。

さらにスタイルまでいい。身長は一八○センチを優に超えているし、細いのに逞しくもある絶妙な肉体美。シンプルな白シャツとグレーのスラックスがモデルのよさを際立たせている。

見るからに高慢で意地の悪そうな顔の男を想像していた藍衣は、想像をはるかに超えた現実に頭が真っ白になる。

隣の栢森もその美貌に気圧されたのか、目を見開いたまま硬直していた。

いけない、と藍衣は放心する自分を奮い立たせる。

「え……と……滝沢黎士さんでしょうか。初めまして、黒芭藍衣と申します」

丁寧に一礼すると、彼は戸惑ったように目を瞬いたが、ややあって「初めまして」と応じた。

しかし、藍衣のうしろにいる栢森を見て表情を変える。目を細め、やや不機嫌そうに口を開いた。

「その男、誰?」

「あっ……こちらは使用人の栢森です。私の面倒を見るように父から申しつかっていて」

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