天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
「俺はずっと藍衣を愛してる。藍衣は全部忘れてしまっているから、急に結婚と言われても気持ちが伴わないだろうけど、俺の中ではずっと考えていたことだ。絶対に幸せにするから、信じてついてきてほしい」

きゅっと手に力を込めると、彼女は不満そうに少しだけ口を尖らせた。

「気持ちが伴わない、なんて。どうして黎士さんが決めつけるんですか?」

予想外の追及が来て、ぱちりと目を瞬かせる。

「私はこの数カ月間で、もう嫌ってほど黎士さんの優しいところも格好いいところも……たまにちょっとかわいいところとかも、全部知ったので」

彼女が目を逸らし、頬を赤くさせながら言う。

奇しくも、彼女が記憶を失う直前。『悔しいけれど、黎士さんが好き』――そう告白してくれたときの照れた表情と重なった。

「その頃、私がどんな思いで黎士さんと付き合っていたのかはわかりませんが。きっとそれと同じくらい……もしかしたら超えちゃうくらい、黎士さんを好きだと思うので」

「藍衣……」

今までで一番素直な言葉が返ってきたことに驚く。

恋の芽どころか、しっかりと蕾が開いて美しい花を咲かせている。

「なんでこんなに素直になっちゃったんだろ」

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