天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
「あー……このまま一緒に昼まで眠れたらいいのに」

部屋に向かってふたりでよたよたと歩きながら、ため息とともに呟く。

「このあとはゆっくりできるんですか?」

「午後から勤務だ。本当は朝からだったけど、オペの予定がなかったからずらしてもらった」

それなら一刻も早く彼をベッドに転がして休んでもらわなければ。使命感が湧き上がり、藍衣の足取りが力強くなる。

「あー……全部投げ出して藍衣をずっと抱き締めてたい」

黎士の心の声が漏れ、思わず苦笑した。そう言いながらもきちんと勤務に行くのだろう、彼の場合は。

「籍も、まだ入れられてない」

拗ねたように言う彼。正式に婚姻届を提出する前に、まずは黎士の両親や藍衣の父、祖父、母の墓前に挨拶をしようという話になったのだ。

祖父はともかく、父に挨拶をすると聞いた黎士はげんなりしていた。藍衣も黎士の両親に会うと思うと今からドキドキする。

あわせて、結婚記念日をいつにしよう? ゴロのよい日がいいか? なんて相談しながら、入籍は保留となっている。

「やっぱり黎士さんの誕生日に入籍するのがいいんじゃないですか? もうすぐでしょう?」

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