天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
「お祝いが一緒になっちゃいそうでヤだ」

「じゃあ、『11月22日(いい夫婦)の日』?」

「まだ二カ月もあるよ。……まあ、働いていたらあっという間なんだろうけれど」

周りに挨拶をしているうちに、二カ月くらいあっという間に経つだろう。なにしろ黎士の時間の確保が難しい。

「週休三日くらいに出来ないか、統括部長にかけあってみようか」

「そこは我慢してください。黎士さんにしか救えない患者さんがたくさんいます」

「そこまでの使命感はないけど。……まあ、藍衣が喜ぶなら頑張るしかないか」

ようやく辿り着いた寝室で、黎士はベッドに転がる。名残惜しそうに藍衣の手を握り、再びおねだりした。

「出かける前に、行ってきますのキスをしに来て」

「寝ているのに起こすのは気が引けます」

「じゃあ、寝ないで待ってる」

「それはダメ」

黎士が不満そうな顔をする。仕方がないので、ふうっと短く息を吐いて意を決すると、ベッドの上に身を乗り出した。

「じゃあ今、おやすみのキス、していきますね」

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