天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
どうやら朱璃がお得意のハッキングを使ってパソコンの中身を盗み見たらしい。だからこの場所にも来ることができたのか、と藍衣は納得する。

黎士が腕を組んで淡々と告げた。

「あの薬液は特別なものですから、入手経路を見れば一目瞭然です。警察にも証拠を提出してある。すぐに調べがつきます」

郷一郎が「そんなバカな!」と猛然と反論する。

「足が付くような薬液なんて使わなかったはず――」

そう口を滑らせたあと、ハッとしたように口元を押さえた。朱璃がニッと狡猾な笑みをたたえる。

「伯母様、今の録音した?」

『ええ。というより、今、隣に警察の方がいらっしゃっているわ』

一葉がアングルを変えると、スーツ姿の男性がスマホの画面に映った。

『失礼。私は警視庁捜査一課の小倉と申します。資産家である黒芭貞平さんの死因の件、そして娘さんの情報がダークウェブ上で出回り、違法なオークションにかけられていることなど、いくつか確認したいことがありますので、任意でご同行願えますか。すぐに車をそちらに回しますので――』

言い終わる前に郷一郎は、気が触れたかのように「ああああああ!」と叫び出した。

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