天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
「貴様らのせいで……! 貴様らのせいで私は!」

黎士に掴みかかろうとするが、それを「冗談ではない!」と制止したのは、ことの成り行きを呆然と見守っていた篠森だった。

「警察沙汰だなんて冗談ではない! 我々は関与したくない。今すぐお引き取りください」

なによりも体裁を気にする彼らが、容疑者のいる一家と縁談などするわけがない。

「執事長、彼らのお見送りを」

「待ってください! これは誤解です!」

「誤解であろうがなんであろうが、疑惑が湧くこと自体が問題なのです。どうぞお引き取りを」

四人はすぐさま屋敷から追い出され、そこへ警視庁から依頼を受けたのだろう、所轄のパトカーが駆けつけてきた。

話を聞こうと近づいてくる警察官相手に郷一郎は、「違う! 私はなにもやっていない!」と暴れ回る。

「お前らが悪い! 父親に歯向かいおって!」

そう叫んで一番近くにいた藍衣に殴りかかろうとする。

咄嗟にその腕を掴んで捻り上げたのは黎士だ。見かねた警察官たちが郷一郎を力づくで取り押さえる。

「やめろ! 離せ! 私は悪くない!」

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