天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
任意の同行という話だったが、あまりにも暴れ回り警察官にも暴力を振るったため、最終的には公務執行妨害で連行された。

パトカーに乗せられていく郷一郎を見送ったあと、藍衣は自分を救いに来てくれたふたりに飛びつく。

「黎士さん! 姉さんも!」

涙を流しながら「藍衣~……!」と情けない声をあげる朱璃。黎士は「無事か? 怪我はしていないな?」と心配そうに覗き込む。

「うん。私は無事よ。姉さんこそ、身体は大丈夫だった?」

説明すると、朱璃は「ごめんなさい!」と強く藍衣を抱きしめた。

「本当はどこも悪くないの。ただ逃げていただけなの」

泣き崩れる姉に、藍衣は「そうだったんだ、よかった」と安堵の吐息を漏らした。

「謝っても謝り切れないわ……私のせいで藍衣が……! 酷い姉でごめんなさい!」

「謝ることなんてない。これまではずっと姉さんが私を守ってくれてたじゃない。それに、こうして助けに来てくれた」

姉を強く抱き締め返し、顔を上げる。黎士と目が合うと、穏やかに微笑んだ。

「ありがとう。助けに来てくれて」

「当然だ。藍衣をほかの男に大人しく渡すわけがないだろ?」

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