天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
「遺体を調べたら、治療に使われていない薬品が検出された。正直、どこにでもある薬品だから出所を調べるのに苦戦するだろうと思っていたが、自白してくれて助かった」
「大丈夫、父のパソコンを調べれば、すぐに別の証拠も出るわよ。私たち姉妹を売り飛ばそうとした履歴も出るはず。しっかり反省してほしいわ」
すっかり元気を取り戻した朱璃は、腰に手を当てて憤慨している。
別邸から逃げ出してきたという彼女は、トレードマークだった美しい髪を切り落とし、すっかり別人のようになっていたけれど、話をしているうちにいつもの明るい姉であることがわかりホッとした。
「朱璃は今、ホテル住まいなんでしょう? しばらくうちに身を寄せるといいわ」
実家の屋敷はいずれ手放すつもりだ。
よくよく聞けば屋敷の維持費や使用人の人件費、藍衣や朱璃の生活費など、すべて貞平がまかなっていたという話だ。
郷一郎は藍衣に対して『金をかけて大事に大事に育ててきてやった』などと恩着せがましいことを言っていたが、実際に金を出していたのは貞平だったのである。
貞平が亡くなり、藍衣と朱璃が自立しようとしている今、実家を残しておく必要はなくなった。使用人については補償金を支給したうえで契約を終了することになるだろう。
「大丈夫、父のパソコンを調べれば、すぐに別の証拠も出るわよ。私たち姉妹を売り飛ばそうとした履歴も出るはず。しっかり反省してほしいわ」
すっかり元気を取り戻した朱璃は、腰に手を当てて憤慨している。
別邸から逃げ出してきたという彼女は、トレードマークだった美しい髪を切り落とし、すっかり別人のようになっていたけれど、話をしているうちにいつもの明るい姉であることがわかりホッとした。
「朱璃は今、ホテル住まいなんでしょう? しばらくうちに身を寄せるといいわ」
実家の屋敷はいずれ手放すつもりだ。
よくよく聞けば屋敷の維持費や使用人の人件費、藍衣や朱璃の生活費など、すべて貞平がまかなっていたという話だ。
郷一郎は藍衣に対して『金をかけて大事に大事に育ててきてやった』などと恩着せがましいことを言っていたが、実際に金を出していたのは貞平だったのである。
貞平が亡くなり、藍衣と朱璃が自立しようとしている今、実家を残しておく必要はなくなった。使用人については補償金を支給したうえで契約を終了することになるだろう。