天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
自分を見つめる熱っぽい濡羽色の瞳に浮かされ、こくりと頷く藍衣。

「似合ってはいるが、俺ならこんな毒々しい赤は着せないな」

「黎士さんなら、何色を着せてくれます?」

「ん……淡いグリーンかイエロー。ホワイトもいい」

藍衣の腰を力強く持ち上げて帯を解く。伊達締めを引き抜き、腰紐を解き、手早く着物を剥いでいく。

脱がすのに慣れているように見えるが、きっと目につくものを片っ端から解いているにすぎないのだろう。そんな手つきをしている。

「それ、全部私の好きな色です。よく見ていますね、黎士さん」

「よく見ているどころか、藍衣しか見てないからな」

長襦袢を開くとようやく肌着が見え、黎士が手を止める。

「一応確認しておくが、体は大丈夫だろうな。拉致されている間、睡眠は取れていたか? 食事は?」

「急に医者みたいに」

黎士は「医者だよ」と呆れた声で突っ込みながら、藍衣の頬に手を置く。

「さすがに弱っている藍衣を困らせようとは思わない」

「大丈夫です。弱らない程度には食べていたつもりですから」

心配そうに、でも物欲しそうにこちらを見つめる黎士に微笑みかける。

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