天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
「栄養や睡眠より、愛情の方が欲しくて」

抱きたくて仕方がないけれど、理性と優しさでなんとか踏ん張っている、そんな彼の背中を押してやると、「藍衣……!」と感極まったように体を重ねてきた。

「そんな言われ方をされたら、止められなくなる」

「止めなくていいですよ」

「藍衣がかわいすぎて怖い」

「……ちょっと失礼?」

まるでらしくないみたいに。すると黎士が体を離し、すっかり蕩けた目で藍衣を見下ろした。

「藍衣が積極的になってくれたの、初めてじゃないか? これまでずっと、俺がどんなにじゃれつこうが嫌がっていたのに」

「……羞恥心が吹っ切れたと言いますか」

なにが自分の背中を押すに至ったか、その経緯を遡って、赤面しながら説明する。

「黎士さんが迎えに来てくれたとき、本当に幸せすぎて。あの瞬間、私の全部を黎士さんに捧げてもいいかもって思っちゃったんです」

黎士が「ははっ」と感極まったように笑う。その笑顔はあまりにも無邪気で、すでに彼を知り尽くしていると思っていた藍衣ですら驚いた。

「なら、ありがたく捧げてもらう。悪いけど、俺は遠慮なんてしない」

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