天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
芋づる式に、藍衣たちをオークションにかけたダークウェブに関わる資産家たちにも捜査が及んでいるらしく、大掛かりな事件になりそうだ。

すべての罪をきちんと償ってほしい、そう思うばかりである。

そして朱璃は、今も一葉たちの住まいに居候中。早速IT企業に就職が決まったそうで、落ち着いたらひとり暮らしをすると言っていた。

だが藍衣としては、朱璃にはしばらく一葉たちの住まいにいてあげてほしいと思っている。なにしろ亜嵐が毎日ご機嫌なのだ。

亜嵐は家でも食事作りを担当しているらしく、朱璃に手料理を振る舞えることが嬉しいのだろう、『今日の夕飯はどんなメニューにしようか』とうきうきしている。たまに『朱璃ってどんな食材が好きなんだ?』と聞いてくることもあるくらいだ。

おかげで黎士が嫉妬することもなくなり、藍衣としてはいいこと尽くめである。

当の朱璃は、恋愛感情まであるかはイマイチ不明だが、彼と仲がいいのは間違いない。ここまで尽くしてもらって嫌な気もしていないだろう。

このまま一緒になればいいのに、と藍衣はこっそり思っている。

「さて、これで挨拶は全部済ませたな」

黎士がどこか清々しい顔で言う。

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