天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
自分の性格を知っているのか。そう尋ねようとしたとき、黎士が藍衣の手を放して背中を向けた。

「週末、MRIの予約を入れた。一緒に白薔薇の脳外に来てくれ」

近づかないという約束を思い出したのか、一歩、二歩と距離を置く。

その振る舞いに誠実さを感じつつも、どことなく寂しさを覚える。

「だから頑張るのはその検査が終わって、脳に異常がないと確認したあとにしてくれ。今はまずゆっくり休んで。……じゃないと、俺は仕事を休んで藍衣を見張ることになる」

振り向いて、じっとりと目を据わらせて言うものだから、藍衣はぶるっと震えた。

優秀で引く手あまたな外科医を自分の都合で休ませるとは、なんて恐ろしい。医療界の損失だ――と深刻に思うのは、元医療コンシェルジュとしての性だろう。

働いていた当時は、診察やカンファレンスの時間など、医師に手間取らせないよう調整を心がけてきた。医師の時間は貴重なのだ。

昔のことに思いを巡らせたからだろうか。様々な記憶が蘇ってくる。

ロイヤルフロアのエントランスで患者様をお迎えしたこと。病室に伺って治療計画を説明したこと。

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