天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
喉が官能を含んだ音を勝手に鳴らした。艶めいた声に一番驚いているのは自分だ。
なぜキスの仕方を知っているのか。彼のキスを受け入れているのか。なにがなんだかわからない。
「……っ……黎士、さん?」
キスの合間に上ずった声をあげると、彼はハッとしたように目を見開いた。
「あ」
すっと身を引き、口元を押さえて目線を逸らす。まるで〝近づかないって約束を忘れてた〟とでも言いたげな顔をしている。
「…………とにかく。安静にしていて」
慌てたようにそう言って立ち上がり、背中を向ける。しかし――。
「待って!」
その手を藍衣は掴む。
聞きたいことは山ほどある。なぜわざわざ自分を名指しして妻に迎えたのか。なんの縁もないはずの自分に、どうしてここまで親切にするのか。
なぜキスなんてしたのか、まずこれを一番に問いただしたい気もするが……だがなによりも気がかりなのは――。
怪訝な目で振り向く彼に、意を決して尋ねる。
「あなたは、姉の……黒芭朱璃のなんなんですか? あなたが姉をあんな風にしたんですか……!?」
この疑念が晴れない限り、彼がどんなに優しく接してくれたとしても、慕う目を向けられない。
なぜキスの仕方を知っているのか。彼のキスを受け入れているのか。なにがなんだかわからない。
「……っ……黎士、さん?」
キスの合間に上ずった声をあげると、彼はハッとしたように目を見開いた。
「あ」
すっと身を引き、口元を押さえて目線を逸らす。まるで〝近づかないって約束を忘れてた〟とでも言いたげな顔をしている。
「…………とにかく。安静にしていて」
慌てたようにそう言って立ち上がり、背中を向ける。しかし――。
「待って!」
その手を藍衣は掴む。
聞きたいことは山ほどある。なぜわざわざ自分を名指しして妻に迎えたのか。なんの縁もないはずの自分に、どうしてここまで親切にするのか。
なぜキスなんてしたのか、まずこれを一番に問いただしたい気もするが……だがなによりも気がかりなのは――。
怪訝な目で振り向く彼に、意を決して尋ねる。
「あなたは、姉の……黒芭朱璃のなんなんですか? あなたが姉をあんな風にしたんですか……!?」
この疑念が晴れない限り、彼がどんなに優しく接してくれたとしても、慕う目を向けられない。