天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
「じゃあ聞くけど『当時、藍衣は俺に一目惚れして、毎日俺のことを追いかけ回していた』って説明されたら信じる?」

「それは嘘ですよね!?」

一葉が「それは嘘よ」と補足する。

ふたりのツッコミをよそに、黎士は「ほら、やっぱり信じないじゃないか」と開き直った。

(確かに鵜呑みにはしないかもしれないけれど、嘘をつく必要はないのでは?)

不満の目を向けていると、仲裁が必要と思ったのか、一葉はそれぞれの前にティーカップ置いた。

「私から証言させてもらうなら、君たちは結構仲良くやっていたわよ」

ふと黎士の方を見ると、一葉の証言に不満でもあったのか、少々むくれたような顔をしていた。

反論はあるが言ってもどうせ信じてくれないんだろう、そんないじけた顔だ。

「……次からはちゃんと説明してください」

紅茶を口に運びながら念を押す。

彼は了承したのかしていないのか涼しい顔に戻り、黙って紅茶を飲んでいる。……たぶん、していないのだろう。

(仕事上やり取りがあったから、私の性格を把握していた?)

頑張りすぎてしまう性格や、気持ちが逸ると突っ走る質を知っていたのは、そのせいかもしれない。

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