天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
では、藍衣が知人だから婚約者に選んだ?

(それはさすがにない気がする……)

加えて、姉との関係も不明瞭なままだ。まだまだふたりの関係には謎が多い。

一葉は正面のソファに座り、自身も紅茶を口に運ぶ。

「とにかく、藍衣の体に問題がないようで安心したわ。藍衣さえよければ、またコンシェルジュとしてロイヤルフロアで働かない? 優秀なあなたが戻ってきてくれたら、私はとても助かるんだけれど」

「本当ですか……!?」

願ってもない誘いに、ティーカップを置いて身を乗り出す。

一葉はちらりと黎士に視線を送り「主治医としてはどういう見解かしら?」と意見を求める。

「……まあ、一、二カ月程度は様子を見たいところです。なにしろ、一年間も動かなかったそうなので。今の藍衣は体力ゼロです」

「まずは日常生活に戻るところから、かしらね。まあ、こちらはいつでも大歓迎だから、そこの医師の許可が出たなら声をかけて」

「ありがとうございます……!」

復職できると聞いて安心した。目標が定まると俄然やる気が湧いてくる。

そう意欲を燃やし始めたところで、黎士の冷たい眼差しに気づく。

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