天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
「造園業者が来られるのは早くても明日の午後だそうです。それでは西城様の手術に間に合いません」

「薔薇を植えたからって、手術が成功するわけじゃないと思うぞ?」

「西城様に万全の状態で手術に臨んでいただく、これがコンシェルジュである私の仕事です」

彼の手にかかれば、手術は成功するのだろう。だが、患者自身に生きる気力がなければどんな治療も意味がない。

薔薇を見て心身ともに元気になっていただく、それを実現するのが自分の務めだと思っている。

医師や看護師が医療行為に専念する一方で、それ以外のすべての仕事を受け持つのが自分の役割だ。

「じゃあせめて、ほかのコンシェルジュたちにも手伝ってもらったら? 結構な量だろ、それ」

並んでいる薔薇の苗木を見て、彼が呆れた声を漏らす。

「それは、さすがに申し訳ないというか……。花の植え替えはコンシェルジュの領分から若干外れている気もするので」

「言ってることが支離滅裂だな」

これはあくまでこだわりの問題だ。手間を最小限に抑えるなら、薔薇の花を患者の病室に飾るだけでいい。

だが、そうはしなかった。それがコンシェルジュである藍衣のプライドだ。

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