天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
医師は藍衣の質問をスルーして「これ、植えればいいんだな?」とピンクのバラの苗木を持ち上げた。

「いや、ダメに決まってるじゃありませんか」

藍衣は慌てて医師の手から苗木を取り上げる。医師は不満ありありといった様子で「は?」と苛立った声をあげた。

「そんなに俺とデートが嫌なのかよ」

「そういう問題じゃなくてですね。あなた、医師でしょう!? でもって明日、西城さんの手術でしょう! 棘が刺さったりしたらどうするんですか」

「だから手袋してきたって」

「そんな薄っぺらい滅菌手袋じゃ肌は守れません! あーあーもう、土埃りだらけになって……呼び出しがきたらどうするつもりなんですか」

「当直明けだから来ないよ」

「当直明けならさっさと帰って寝てください! 明日の手術に響いたらどうしてくれるんですか!」

彼は明日も山ほど執刀予定が入っているのだろう。土いじりなどしている場合ではない。一刻も早く帰って体を休めてほしい。すべての患者のために。

「いいですか、■■先生! あなたのこの手とその体力は、患者様をお救いするために存在しているんです。こんなところで浪費しないでください」

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